すべてがFになる – 森博嗣 今までとは一味違う本格ミステリ

森博嗣のメフィスト賞を受賞したデビュー作、すべてがFになる。
よくある”密室殺人”でありながら、今までとは一味違ったミステリが展開される。

※ネタバレはありませんので、安心して読んでください。

あらすじ

それでは本作品の概要を紹介していきます。

舞台は、愛知県内の孤島にある、真賀田四季を中心としたハイテク研究所。
幼少期から天才と呼ばれた彼女は、ある事件をきっかけに完全に隔離された生活を送っていた。
そんな真賀田四季と親戚を通じ面会したN大の西之園萌絵は、恩師でもあり自身の学科の助教授犀川創平に、研究所の旅行としてその孤島でのキャンプを提案する。
研究所を訪れることになった犀川と西之園は、事件に遭遇する。
研究所内に完全に隔離されていた真賀田四季の部屋から、ロボットに乗ったウエディングドレス姿の死体が現れたのだ。
そして、様々な謎の残る密室殺人に二人は挑むことになる。

おすすめポイント・特徴

特殊な舞台設定

この作品の面白いところは、まず第一に舞台設定の異質さです。
”十数年もの間、研究所内で完全にに隔離されている”これだけでも異質なんですが、この研究所自体がかなり特殊。
窓のない建物に、所員が自身の部屋を持ち、そこで生活を送る。会議などもメールや電話で行われ、他人とはほとんど会わずに環境。
そんな特殊な空間ではありますが、設定自体は非常に論理的に組み立てられており、物語の世界へ引き込まれます。

専門用語なども

それから、コンピューターなどの専門用語なども多々出てきます。
しかし、難しい部分は分かり易く説明するような構造になっていますので、話が分からないなんてことはないのでご安心を。
こういった部分は、森さんは作家になる前は工学部の大学教授、という経歴が色濃く出ているなあと感じます。

クスっと笑ってしまう会話

さらに本作(以降出版されていくS&Mシリーズ)の魅力として挙げたいものとして、話の端々で使われるジョークです。

これはあくまでも私の主観でありますが、面白い言い回しや、クスっとしてしまうセリフが森さんは独特だなあと感じます。
この言い回しが本当に好きで、私はどっぷりハマってしまいました。
ただ、こう言った作者の特徴というのは、(森さんに限らず)好きかどうか人によって分かれるボイントでもあると思いますのであまり強くおすすめするポイントではないですが…

総評

そういった特徴を除いても、今までとは一味違うミステリなのでおすすめです。
そのうえで、森さんの色がよく出ている作品でもありますので、気に入った方はシリーズでも読んで欲しいです。

(私は結構森さんのファン、といってもいいので色んな作品を読んでみて欲しいですが…)

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